IKEMART.IncBLOG

株式会社IKEMARTのBLOGでは、経営や事業づくり、組織、データ活用に関する考え方と実践を発信しています。
挑戦する人と企業の可能性を、データと仕組みで成果へ変えるために、日々の現場で得た気づきや、成長を支える視点を継続的にお届けします。

NEWS

AIの見逃しと、通知の多さを一緒に考える

2026/11/01

    お客様から届いた問い合わせを、AIが内容に応じて振り分ける場面を考えてみます。通常の相談は担当窓口へ、急いで確認したい内容は責任者へ届く。そんな仕組みがあれば、人は必要な対応へ集中しやすくなるでしょう。では、そのAIが役立っているかを、何によって確かめればよいのでしょうか。

    私は、分類が全体としてよく当たっているという説明だけで、運用を決めたくはありません。急ぎの内容を見逃していないか。反対に、急ぎではない内容まで次々に通知され、担当者が落ち着いて仕事を進められなくなっていないか。違う種類の間違いを分けて考えることに、経営の役割があると思っています。

    正解の多さだけでは、困りごとは見えない

    問い合わせの大半が通常の相談であれば、いつも通常と判断する仕組みでも、全体では正解が多く見えることがあります。しかし、早めの確認が必要な相談を拾う目的には応えていません。何のために分類するのかによって、確かめるべき結果は変わります。

    ここで分けたいのは、急ぎではない相談を急ぎとして扱う間違いと、本来は急ぎの相談を通常として扱う間違いです。前者は確認の手間を増やし、後者は必要な対応を遅らせる可能性があります。同じ誤りとしてまとめると、それぞれを減らすための工夫が見えにくくなります。

    私なら、AIが急ぎと判断したものが実際にどうだったかと、人が急ぎと判断したものをAIが拾えたかを、別々に確かめます。専門的には適合率と再現率につながる見方ですが、大切なのは用語を覚えることより、通知の意味と見逃しの場所を理解することです。

    急ぎの意味を、仕事の言葉でそろえる

    評価する前には、何を急ぎとするかを決める必要があります。文章が強い調子かどうかだけでなく、お客様が次の行動へ進めない状態か、確認を後回しにすると影響が広がるか、といった仕事の状況で考えたいと思います。

    運用の一例として、担当者と責任者が過去の問い合わせを読み、それぞれの判断理由を短く残します。意見が分かれた内容は、そのままAIの誤りとせず、人の側の基準を話し合う対象にします。急ぎ、通常のどちらにも決めにくいものには、人へ相談する扱いを用意します。

    この準備では、問い合わせ内容の利用範囲や閲覧できる人も整えます。判断に不要な個人情報を含めず、業務上使える範囲で確認する。便利な分類をつくるために、お客様との信頼を置き去りにしないことを大切にしたいと思います。

    通知を増やす判断には、受け取る人の時間も含める

    急ぎと判定する基準を広げれば、拾える相談が増える一方、確認してみると通常だったという通知も増える可能性があります。どこに基準を置くかは、技術だけで完結する判断ではありません。見逃したときの影響と、確認する人が対応できる状況を合わせて考える必要があります。

    通知が来れば安心、とは限りません。受け取った人が何を確認し、どこへ引き継ぐかが決まっていて初めて、通知が仕事になります。私なら、通知先の担当だけでなく、不在時の引き継ぎ先と、判断に迷った場合の相談先も先に整えます。

    また、通常に振り分けられた相談も、放置してよいわけではありません。通常の受付と対応の流れを保ちながら、急ぎの可能性があるものを早く見つける補助として使う。導入初期は、人の確認を併用し、分類結果だけでお客様への対応を終えない設計にしたいと考えています。

    見慣れた問い合わせ以外で確かめる

    AIの調整に使った問い合わせだけで結果を見ると、実際の使いやすさを十分に確かめられないことがあります。仕組みをつくるために使う内容と、選び方を確かめる内容、最後に評価する内容は分けて扱います。評価に使うものへ繰り返し合わせ続ければ、その評価自体の意味も薄れてしまいます。

    確認する内容には、短い文面、事情が省略された相談、商品が変わった場面なども含めたいと思います。珍しい内容だからといって集計の外へ置かず、どの条件で判断が難しくなるかを記録します。全体の結果に加え、扱う場面ごとの違いを見ることで、任せられる範囲が具体的になります。

    ただし、評価を終えたから今後も同じように使えると決めつけないことも大切です。商品や案内方法が変われば、届く問い合わせも変わります。変化があったときに確かめ直せるよう、使った基準と確認した時点を残しておきたいと思います。

    改善の単位を、AIから仕事全体へ広げる

    振り返りでは、見逃した内容、過剰に通知された内容、人が迷った内容を分けて読みます。モデルを調整する担当と、問い合わせ対応を担う担当が一緒に確認し、分類の基準を変えるのか、受付項目を整えるのか、案内を分かりやすくするのかを考えます。

    AIの性能を上げる以外にも、改善の道はあります。お客様が状況を伝えやすい入力欄を用意すれば、判断そのものがしやすくなるかもしれません。通知を受けた人に必要な情報を添えれば、確認の往復を減らせる可能性があります。技術の評価を、仕事の設計へつなげたいと思います。

    私が目指したいのは、通知に追われる働き方ではなく、必要な相談へ落ち着いて向き合える働き方です。お客様を待たせない配慮と、人の集中や健康を守る配慮を一緒に考える。IKEMARTでも、AIが何を拾い、何を見落とし得るのかを理解しながら、人がより良い対応を選べる仕組みを育てていきたいと考えています。

    株式会社IKEMART/代表取締役CEO 網屋純一

    CONTACT

    事業に関するお問い合わせはこちらから承っております

    RECRUIT

    募集要項はこちら

    エントリー開始